指導内容の紹介

 

【発達を促す3要素】

 

こどもの発達は、「見る」「話す(聞く)」「運動する」という3要素が互いに影響しあって成立します。運動の不器用なこどもは見本をしっかりと見ることが苦手だったり(視覚分析の不十分さ)、自分では上手に出来ているつもりだったり(視覚情報を運動に変換することの不十分さ)します。また、発語が遅かったり言語発達が緩やかなこどもは聞いて理解することが苦手だったり(言語の意味理解が不十分)、聞いたものを映像化することが苦手だったり(名詞や動詞をイメージとして想起することが困難)します。つまり、「視覚」と「言語」と「運動」を適切に分析し、他の要素に変換する能力こそが発達に必要な要素となります。

 

 

 

【他者の視線分析課題】

 

教師役が何を見ているか(どの空間に視線を向けているか)をこどもに分析してもらう課題です。頭の向きを変えて見る、頭の向きを変えず視線だけを変えて見る、頭の向きと視線の向きを組み合わせて見る、のように段階的に難易度をあげていきます。他者の視線の先を見る共同注視のための課題となっており、人や物に適切に注目する(注意を向ける)力を育てます。

 

 

【視覚と接触の統合課題】

 

様々な素材のパネルを見て「どのような感じ」がするのかをイメージし、実際に触れて経験する課題です。素材間の違いが分かればパネルを見ないで触れ、どの素材だったかを選んでもらいます。感覚過敏のあるこどもの多くは、様々な感覚(視覚・聴覚・味覚・臭覚・触覚など)がデリケートで僅かな違いを感じ分けることが出来ません。このような課題を通じて行為に必要な感覚を丁寧に育てます。

 

 

【言語から視覚への情報変換課題】

 

こどもに動物のフィギュアを渡し、「○○○指にのせて」と伝えます。セラピストの言葉を聞き適切な部位を選択するこの課題は、相手の話をよく聞いて、話の内容を頭の中にイメージする能力を育みます。

 

 

【視覚分析の課題】

 

セラピストの提示する見本の通りにブロックを並べてもらいます。全体の構造だけでなく、細かな差異にきちんと視覚的な注意を向け、配置を記憶出来るかを評価することが出来ます。見本を隠すことで難易度を上げたり、ブロック数を減らすことで難易度を下げたりします。

 

 

【体幹の左右比較課題】

 

左右に揺れる座面に座り、肩や骨盤の傾きを左右で比較しています。対称的な姿勢を保持するためには体の左右方向への傾きを理解し、どちらにも傾いていないことを知ることが必要になります。床に設置したクッションを足で踏み込み反発力を分析させることで、重心移動に伴う足底への荷重も学習させることが出来ます。

 

 

【接触→視覚の変換課題】

 

指先で触れている玩具の形を分析し、目の前に提示している幾つかの選択肢から選ぶ課題です。ボタン留めや髪ゴムなど、指先の感覚を頼りに目に見えない空間での操作能力を獲得するために必要な課題の一つです。